自毛植毛の術式の違いとは?FUE・FUT・ノンシェーブの特徴と向いている人

一口に自毛植毛といっても、FUE・FUT・ノンシェーブ・ロボット支援など、いくつかの術式があります。
それぞれ傷あとやダウンタイム、費用感、向いているケースが少しずつ異なるため、「どの方法が自分に合っているのか分からない」と迷う方も多いはずです。
この記事では、代表的な術式の特徴とメリット・デメリット、そしてどんな人に向いているのかをやさしく解説していきます。

目次

自毛植毛の主な術式の種類

まずは、自毛植毛でよく名前が挙がる代表的な術式をざっくり整理しておきましょう。細かい違いは後ほど解説しますが、全体像を知っておくと、その後の説明がぐっと理解しやすくなります。

自毛植毛の主な術式としてFUE・FUT・ノンシェーブの違いと特徴を3つのカラムで比較した図

FUE(フォリキュラーユニットエクストラクション)とは

FUEは、後頭部などのドナー部分から株(グラフト)を1つずつ小さなパンチでくり抜く方式の術式です。

  • 帯状に皮膚を切り取らないため、線状の傷あとが残りにくい
  • ドナー部分を短く刈り上げてから、1株ずつ丁寧に採取する

傷あとが目立ちにくい反面、採取に時間と手間がかかるため、費用はやや高めになる傾向があります。

FUT(ストリップ法)とは

FUT(ストリップ法)は、後頭部の皮膚を帯状に切り取ってから、その中から株を取り分けていく方法です。

  • 一度に多くの株を採取しやすい
  • 株あたりの単価がFUEより抑えられることが多い

その一方で、後頭部に線状の傷あとが残る点がデメリットとして挙げられます。髪を短く刈り上げるスタイルだと傷あとが見えやすくなるため、ヘアスタイルとの相性も含めて検討する必要があります。

ノンシェーブ自毛植毛とは

ノンシェーブ自毛植毛は、後頭部を大きく刈り上げずに行う自毛植毛の総称です。

  • ドナー部分の髪を長いまま、あるいは目立たない範囲だけ部分的に短くして採取する
  • 手術直後から周囲に気づかれにくいのが特徴

通常のFUEやFUTに比べて、より手間や時間がかかるため、費用が高めに設定されていることもあります。

ロボット支援など、その他の術式の位置づけ(あくまで概要)

近年では、ロボット支援によるFUEなど、機械を活用した新しい方法も登場しています。

  • 一定の条件で、採取の精度やスピードをサポートする目的
  • あくまで「FUEをどう行うか」の違いとして位置づけられることが多い

細かい名称や機械の種類はクリニックによって異なりますが、基本的な考え方は「FUE・FUT・ノンシェーブのどれをベースにしているか」として捉えておくと理解しやすくなります。

FUEの特徴・メリット・デメリット

ここからは、代表的な術式ごとに、もう少し踏み込んで特徴を見ていきましょう。まずは、現在多くのクリニックで採用されているFUEからです。

FUEの仕組み(株を1本ずつくり抜くイメージ)

FUEでは、専用の器具を使って、後頭部などの毛根を1株ずつくり抜いて採取します。

  • 直径1mm前後の小さな円形のキズが多数できるイメージ
  • 採取した株を、薄くなっている部分に1つずつ植え込んでいく

帯状に皮膚を切り取るFUTとは違い、「点で採る」というのがFUEの大きな特徴です。

FUEのメリット(傷あと・ダウンタイムなどの特徴)

FUEの主なメリットは次のような点です。

  • 線状の傷あとが残りにくいため、髪を短くしても比較的目立ちにくい
  • 後頭部のつっぱり感などが少なく、FUTに比べてダウンタイムが軽いと感じる人も多い
  • ドナー部分のデザインを工夫しやすく、傷あとを分散させることができる

特に、短髪にしたい人・将来ヘアスタイルの自由度を保ちたい人にとって、大きなメリットになりやすい術式です。

FUEのデメリット(施術時間・費用などの傾向)

一方で、FUEには次のようなデメリットもあります。

  • 1株ずつ採取するため、施術時間が長くなりやすい
  • 医師・スタッフの手間がかかる分、株数単価が高めに設定されることが多い
  • 広範囲・大量の移植では、体への負担や時間を考慮する必要がある

費用面や施術時間とのバランスを見ながら、どの程度の範囲をFUEで行うかを検討するのがポイントです。

FUEが向いている人の例

FUEが比較的向いているのは、次のようなケースです。

  • 髪を短く刈り上げるスタイルが好きで、後頭部の線状の傷あとをできるだけ避けたい人
  • 生え際・M字など、ある程度限られた範囲を整えたい人
  • ダウンタイムを比較的軽くしたい人

もちろん、クリニックの得意とする術式や個々の頭皮の状態によっても変わるため、最終的には医師の診断と自分の希望をすり合わせて決めることが大切です。

FUTの特徴・メリット・デメリット

次に、比較的歴史の長い術式であるFUT(ストリップ法)について見ていきましょう。大量の株を採取しやすい一方で、傷あとの特徴なども理解しておく必要があります。

FUTの仕組み(皮膚を帯状にとってから株を分けるイメージ)

FUTでは、後頭部の毛がしっかりしている部分から帯状に皮膚を切り取り、その中から株を取り分けていきます。

  • 採取した帯状の皮膚から、顕微鏡などを使って株を分ける
  • その株を薄毛部分に植え込んでいく流れはFUEと同じ

後頭部には切り取った部分を縫合した線状の傷あとが残りますが、髪が十分にあれば上から隠れるケースも多いです。

FUTのメリット(採取できる株数・費用感など)

FUTの主なメリットは次のような点です。

  • 一度に多くの株を採取しやすいため、広範囲の薄毛に対応しやすい
  • FUEと比べて、1株あたりの単価が抑えられることが多い
  • ドナー部位の取り方次第で、毛の質や太さをそろえた株を確保しやすい

特に、必要株数が多い中〜重度の薄毛の方にとっては、コスト面やドナー確保の観点から有力な選択肢になりえます。

FUTのデメリット(線状の傷あと・ダウンタイムなど)

一方で、FUTには次のようなデメリットもあります。

  • 後頭部に線状の傷あとが残る(短髪だと見えやすくなる場合がある)
  • 採取部分を縫合するため、つっぱり感や違和感を感じることがある
  • スポーツや力仕事をしている場合、しばらくは注意が必要なことも

日常的に髪を短くしている人や、後頭部がよく見えるライフスタイルの人は、傷あとがどの程度目立ちそうかを事前に医師とよく相談しておきましょう。

FUTが向いている人の例

FUTが比較的向いているのは、次のようなケースです。

  • 前頭部〜頭頂部など、広い範囲のボリュームを戻したい人
  • 必要な株数が多く、コストも重視したい人
  • 普段から髪をある程度長めにしていて、後頭部の線状の傷あとが隠れやすい人

FUEとFUTはどちらが優れているというよりも、「自分の薄毛パターンやライフスタイルに合っているか」という視点で考えることが大切です。

ノンシェーブ自毛植毛の特徴

次に、最近ニーズが高まっているノンシェーブ自毛植毛について見ていきます。仕事や家庭の事情などで「できるだけバレたくない」という方にとって、検討する価値のある選択肢です。

ノンシェーブの基本的な考え方(後頭部を刈り上げない)

ノンシェーブ自毛植毛の基本的な考え方は、「後頭部を大きく刈り上げずに株を採取する」というものです。

  • ドナー部分の髪を長いまま、または一部だけ目立たない範囲を短くして採取する
  • 周囲の髪で隠せるため、手術直後から見た目の変化が少ない

基本的な移植の考え方はFUEやFUTと同じですが、「術後の見た目」に配慮したアレンジだとイメージすると分かりやすいです。

ノンシェーブのメリット(周囲にバレにくいなど)

ノンシェーブ自毛植毛の主なメリットは次のとおりです。

  • 後頭部を大きく刈らないため、職場や家族に気づかれにくい
  • 術後すぐに、いつものヘアスタイルに近い状態を保ちやすい
  • 人前に出る仕事や、長期休みが取りづらい人に向いている

「植毛をしたことを周囲に知られたくない」という方にとって、大きな心理的メリットになる術式です。

ノンシェーブのデメリット(時間・費用・条件など)

一方で、ノンシェーブには次のようなデメリットもあります。

  • 刈り上げない分、作業が細かくなり時間がかかる
  • 医師・スタッフの負担が増えるため、費用が高めに設定されることが多い
  • 対応できる株数や薄毛の範囲に制限がある場合

そのため、「とにかくノンシェーブでやりたい」と決め打ちするよりも、自分の薄毛の進行度や希望の範囲と合うかどうかを、医師とよく相談することが大切です。

ノンシェーブが向いている人・向かない人

ノンシェーブ自毛植毛が向いているのは、次のようなケースです。

  • 仕事や家庭の都合で、大きく髪型を変えられない人
  • 「植毛したことを周囲に知られたくない」という希望が強い人
  • 比較的範囲が限られた薄毛で、必要株数が多すぎない人

逆に、広い範囲に大量の株が必要なケースでは、ノンシェーブだと難しい場合や、費用が非常に高くなってしまう場合もあります。どの程度の仕上がりをどの術式で目指すかを、現実的なラインで相談していくことが重要です。

術式を選ぶときに大事な「3つの視点」

ここまで見てきたように、どの術式にもメリット・デメリットがあります。そこで重要になるのが、術式選びの基準です。ここでは、特に意識しておきたい3つの視点を整理します。

① ドナー量と将来の薄毛の進行

まず大切なのは、「今だけ」ではなく「将来の薄毛の進行」と「ドナーの残量」をセットで考えることです。

  • 今の薄毛範囲に対して、どの程度のドナーを使うべきか
  • 将来さらに薄くなった場合に、追加の手術ができるだけの余力が残るか

FUTで一気に多く採るのか、FUEで分散して採るのかなど、術式選びにもドナーの使い方が直結します。

② ダウンタイム(仕事・生活への影響)

次に重要なのが、ダウンタイムと生活への影響です。

  • 仕事をどのくらい休めるか(在宅ワークができるか)
  • 人前に出るイベントや予定が直近にないか
  • 髪型をどの程度変えられるか(刈り上げOKか)

FUTは縫合が必要なぶん安静期間が長くなる場合がありますし、FUEでも後頭部の刈り上げが気になることがあります。自分の生活スケジュールに無理がないかを基準に考えましょう。

③ 予算とクリニック側の得意分野

最後に、予算とクリニック側の得意分野も重要です。

  • 自分が出せる予算の範囲と、各術式の費用感
  • そのクリニックがどの術式をメインで扱っているのか
  • 医師がどの術式の経験・症例が豊富か

同じ術式名でも、クリニックごとに得意・不得意があります。症例写真や説明の丁寧さも含めて、「この術式ならこの先生に任せたい」と思えるかどうかも判断材料にしましょう。

自分に合う術式の考え方(ケース別)

ここからは、よくあるケース別に「どんな術式の組み合わせが候補になりやすいか」のイメージをお伝えします。実際には個人差があるため、あくまで参考として読み進めてください。

M字~生え際中心に整えたい20〜30代

まだ薄毛の進行がそれほど広くなく、M字や生え際を中心に整えたい20〜30代では、次のような考え方がよく見られます。

  • 傷あとを目立たせたくない → FUEやノンシェーブFUEを候補に
  • 将来の進行も見据えて、ドナーを使いすぎないデザインを重視

この年代では、今後さらに薄毛が進行する可能性もあるため、デザインの控えめさドナー温存も含めてプランを立てるのがポイントです。

全体的にボリュームを戻したい40〜50代

40〜50代で、前頭部〜頭頂部まで全体的にボリュームを戻したいというケースでは、必要株数が多くなることが一般的です。

  • トータルの株数を確保しやすいFUTを軸に検討
  • 部分的にFUEを組み合わせて、デザインや傷あとを調整するケースも

ドナー量・予算・仕上がりイメージのバランスを見ながら、「どこをどの程度まで改善するか」を医師とすり合わせていくことが大切です。

人にバレたくない・休みが取りづらいケース

仕事や家庭の事情で、長期の休みが取りづらい・できるだけバレたくないという場合は、次のような方向性が考えられます。

  • 後頭部の見た目を大きく変えたくない → ノンシェーブ自毛植毛を候補に
  • 一度に広範囲をやるよりも、小〜中範囲を複数回に分けて行うという選択肢

ただし、ノンシェーブは費用や時間がかかりやすいため、「どの範囲までノンシェーブにこだわるか」を冷静に考えることも大切です。

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術式の違いと自分に合いそうな方向性がイメージできたら、次は「費用」と「クリニック選び」についても深掘りしておくと安心です。具体的な金額の目安や、通いやすいエリアでのクリニック比較もあわせてチェックしてみてください。

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